アクセシビリティを最初の一歩から始める
アクセシビリティと聞くと、「大企業のサイトが専門家を雇ってやること」という印象を持つかもしれません。しかし実際には、その多くは画面の見やすさ・操作のしやすさの基本であり、個人開発の小さなプロダクトでこそ、最初から組み込むほうが簡単です。
この記事では、W3CのWebアクセシビリティ入門とEasy Checks(最初の確認リスト)を土台に、個人開発者が今日から確認できる項目に絞って整理します。
なぜ個人開発でやるのか
W3Cのアクセシビリティ入門では、アクセシビリティは障害のある人が使えることを中心に、高齢の人、小さな画面の人、明るい屋外にいる人、一時的にマウスを使えない人など、幅広い状況の利用者に恩恵があると説明されています。
個人開発の観点で言い換えると、次のようになります。
利用者が少ない時期に「使えない人」を作ると、その分だけ確実に利用者を失う
コントラストやキーボード操作などの基本は、全員にとっての使いやすさをそのまま底上げする
あとから直すより、作りながら守るほうが圧倒的に安い
完璧を目指す必要はありません。以下の基本を、新しい画面を作るたびに守るだけで大きな差になります。
今日から確認できる6項目
W3CのEasy Checksから、個人開発の画面でまず効く項目を選びました。
ページタイトル:ページごとに内容が分かるタイトルを付ける。ブラウザのタブと検索結果に表示される、最初の案内です
画像の代替テキスト:意味のある画像にはaltで内容を書く。飾りの画像はaltを空にして無視できるようにする
見出しの構造:見た目で文字を大きくするのではなく、見出し要素を階層どおりに使う。読み上げ環境では見出しがページの目次になります
コントラスト:文字と背景の差を確保する(配色と文字の最小ルールで画面を整えるで決めた4.5対1以上のルールがそのまま使えます)
キーボードだけで操作:マウスを使わず、Tabキーで主要な一周を操作してみる。たどり着けない・今どこにいるか見えないボタンは、フォーカスの表示や実装を直す
フォームのラベル:入力欄には必ずラベルを付け、何を入れる欄かを placeholder だけに頼らない。エラーの伝え方は入力エラーを利用者が直せる文章にするで整えられます
このうち5番のキーボード確認は、道具もいらず数分で終わるのに、発見が最も多い確認です。まずここから始めてください。
作り方で防げる問題を知る
確認とあわせて、作る段階の習慣で防げる問題があります。
ボタンには button 要素、リンクには a 要素と、役割どおりのHTML要素を使う。div のクリックで代用すると、キーボード操作もフォーカスも自前で作り直すことになります
色だけで意味を伝えない。「赤が必須項目」ではなく、文字でも示す
押せる領域は指で押せる大きさにする(スマホ対応をレスポンシブの基本から始めるのターゲットサイズと同じ基準です)
自動で動き続けるもの(カルーセルや点滅)を安易に足さない。必要なら止める手段を付ける
役割どおりの要素を使うことは、実装量を減らすことでもあります。アクセシビリティ対応の多くは「余計なことをしない」ことで達成できます。
公開前の一周に組み込む
アクセシビリティ確認は、専用の工程にするより、既存の確認に混ぜるほうが続きます。
初めて作ったアプリを自分で確認する方法の一周に「キーボードだけの一周」を加える
個人開発を公開する前のチェックリストに、上の6項目を足す
ブラウザの開発者ツールにあるアクセシビリティ検査(LighthouseやaxeなどのA11y監査)を一度実行し、指摘を一つずつ読む
自動チェックで見つかるのは問題の一部ですが、個人開発の最初の一歩としては十分な出発点です。
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見た目の土台は配色と文字の最小ルールで画面を整える、画面幅への対応はスマホ対応をレスポンシブの基本から始めるで整えられます。画面の構成から見直す場合は小さなプロダクトの画面を迷わず設計するへ戻ってください。