AIに作りたいアプリを伝える方法
AIに「アプリを作ってください」と頼むだけでは、期待したものができない場合があります。アプリという言葉には、画面が一つだけの道具から、多くの人が使う大規模なサービスまで含まれるためです。
AIへ依頼するときに、難しい命令文や専門用語を覚える必要はありません。誰が、何のために、どのように使うのかを、普段の言葉で具体的に伝えることが大切です。
この記事では、読んだ本を記録する小さなアプリを例に、最初の依頼から修正までの進め方を説明します。
最初の依頼に入れる五つの情報
最初の依頼には、次の五つを入れます。

自分の知識の程度
作りたいもの
解決したい困りごと
最初に必要な操作
進め方の希望
一つずつ見ていきます。
1. 自分の知識の程度
最初に、個人開発やプログラミングが初めてであることを伝えます。
プログラミングは初めてです。専門用語を使う場合は、その意味も説明してください。
この一文があると、AIは説明を省略しにくくなります。分からない言葉が出た場合は、そのまま進めず、「その言葉は何を意味しますか」と質問します。
2. 作りたいもの
作りたいものを一文で伝えます。
読み終わった本の題名を記録する、小さなアプリを作りたいです。
「便利なアプリ」「おしゃれなサービス」だけでは、必要な画面や機能が決まりません。何を記録するのか、何を表示するのか、何を計算するのかまで書きます。
3. 解決したい困りごと
アプリを作る理由を伝えます。
読み終わった本の題名を忘れてしまうので、あとから一覧で確認できるようにしたいです。
理由があると、AIが別の機能を提案したときに、本当に必要か判断できます。読書記録の例では、本を販売する機能や他の人をフォローする機能は、最初の困りごとを解決するためには必要ありません。
4. 最初に必要な操作
利用する順番で、必要な操作を書きます。
本の題名を入力します。追加ボタンを押します。入力した題名が、画面の下に一覧で表示されます。
画面の色や部品の位置より、何をしたら何が起きるのかを先に伝えます。入力、ボタン、表示という順番が分かれば、AIは必要な画面を組み立てやすくなります。
5. 進め方の希望
一度に完成させず、一段階ずつ進めたいことを伝えます。
最初に必要なファイルと作業手順を説明してください。一度にすべて作らず、一つの段階が終わるごとに、確認方法を教えてください。
作業を小さく分けると、どの段階で問題が起きたか分かりやすくなります。GitHubのAI支援開発に関する資料でも、複雑な依頼を小さな作業へ分け、曖昧な表現を避ける方法が案内されています。
最初の依頼文を組み立てる
五つの情報を一つの依頼文にすると、次のようになります。
プログラミングは初めてです。専門用語を使う場合は、その意味も説明してください。
読み終わった本の題名を記録する、小さなアプリを作りたいです。題名を忘れてしまうので、あとから一覧で確認できるようにしたいです。
最初は一つの画面だけにします。本の題名を入力し、追加ボタンを押すと、画面の下に一覧で表示されるようにしてください。ログイン、表紙画像、感想、共有機能はまだ作りません。
最初に必要なファイルと作業手順を説明してください。一度にすべて作らず、一つの段階が終わるごとに、確認方法を教えてください。
文章が長く見えても、特別な書き方は使っていません。自分の状況と、作りたいものを順番に説明しています。
AIの返答を確認する
AIがコードやファイルを作成したら、説明を読むだけで終わらせず、実際に動かします。
最初の確認では、次の三つを試します。
指示された方法で画面を開く
本の題名を一冊入力する
追加ボタンを押し、一覧へ表示されるか見る
動いた場合は、次の段階へ進めます。動かなかった場合は、どこで止まったかをAIへ伝えます。
「動きません」だけで終わらせない
問題を伝えるときは、次の四つを書きます。
行った操作
期待していた結果
実際に起きたこと
画面に表示されたエラー
たとえば、次のように伝えます。
本の題名に「銀河鉄道の夜」と入力し、追加ボタンを押しました。一覧に題名が表示されると思いましたが、何も変わりませんでした。画面にはエラーが表示されていません。原因を調べるために、最初に確認する場所を一つ教えてください。
エラーが表示された場合は、自分で言い換えず、そのまま伝えます。長いエラーでも、最初と最後を勝手に省略しないようにします。
変更するファイルを確認する
AIが修正を提案したら、どのファイルを、何のために変更するのか確認します。
どのファイルを変更しますか。変更すると何が直るのか、初心者向けに説明してください。
説明を聞いてから、一つの修正を行い、もう一度同じ操作を試します。複数の修正を同時に行うと、どの変更で直ったのか分からなくなります。
AIに任せたままにしない項目
AIは、誤ったコードや、希望と異なる動作を提案することがあります。GitHubの利用ガイドでも、AIが提案したコードを確認し、実際にテストする必要があると説明されています。
初心者でも、少なくとも次の点は自分で確認します。
依頼していない機能が追加されていないか
入力した内容が正しく表示されるか
画面を開き直しても動くか
エラーが出ていないか
有料サービスや外部サービスが勝手に追加されていないか
コードのすべてを説明できなくても、「何を作ったか」「どの操作ができるか」「どこまで確認したか」は自分の言葉で言える状態にします。
パスワードや秘密情報を入力しない
AIへ質問するとき、次の情報を依頼文やコードへ貼り付けてはいけません。
APIキーとは、外部サービスを利用するための秘密の文字列です。画面に「secret」「token」「password」「private key」などと表示されている値も、同じように秘密情報として扱います。
秘密情報が必要な機能は、最初の作品では後回しにできます。どうしても必要な場合は、値そのものをAIへ渡さず、安全な保存方法を質問します。
次の依頼は一つだけにする
最初の画面が動いたあと、機能を追加したくなる場合があります。そのときも、一度に一つだけ依頼します。
たとえば、次の順番です。
入力した題名を、画面を閉じても残す
間違えて登録した題名を削除できるようにする
読み終わった日付を追加する
一つ目が動いたことを確認してから、二つ目へ進みます。途中で不要だと感じた機能は、追加しなくても構いません。
AIへの依頼で大切なのは、一度で完璧な答えを得ることではありません。作りたいものを小さく伝え、実際に動かし、結果を具体的に返すことです。この繰り返しによって、プログラミングが初めてでも、現在の状態と次に行う作業を見失いにくくなります。