最初のユーザーに話を聞く

個人開発では、作れるものから考えると機能が先に増えます。最初の聞き取りではアイデアを評価してもらうのではなく、相手が実際に困った場面と、今どう対処しているかを集めます。答えを集計することより、次に何を作るかを決められる材料を得ることが目的です。

確かめたい仮説を一つ書く

聞き取り前に、まだ事実ではない想定を一文にします。

小規模なネットショップ運営者は、毎週の在庫確認に時間がかかり、もっと短く終えたいと考えている。

GOV.UK Service Manualは、根拠のない意見や想定を調査質問へ変え、優先度の高い問いに絞ることを勧めています。「この機能が欲しいですか」ではなく、「最後に在庫確認をしたとき、何をどの順番で行いましたか」と聞ける形にします。

実際の行動を聞く

未来の希望より、最近起きた具体的な出来事を聞きます。

  • 最後に困ったのはいつか

  • そのとき何を使ったか

  • どこで止まったか

  • 代わりに何をしたか

  • 放置すると何が起きるか

相手の言葉を誘導しないよう、機能名や理想の答えを先に出しません。録音する場合は目的と保存方法を説明し、同意を得ます。録音が不要なら、困りごと、現在の対処、結果の三列だけをメモします。

共通点より強い場面を探す

全員が同じことを言うとは限りません。頻度だけでなく、問題が起きたときの損失、急ぎやすさ、現在の対処に使っている時間や費用を見ます。

聞いた内容を「観察した事実」「自分の解釈」「次に確かめること」に分けます。一人の強い意見をそのまま仕様にせず、似た場面が別の人にもあるかを次の聞き取りで確認します。

次の一週間の行動を決める

聞き取りの成果は長い報告書ではなく、次の行動にします。

  1. 最も困っている利用者を一種類に絞る

  2. 解決する場面を一つ選ぶ

  3. 試す画面や手作業の代替を作る

  4. 次に確認する仮説を書く

作らない判断も成果です。困りごとが弱い、すでに十分な代替がある、対象者へ到達できないと分かったなら、実装量が増える前に方向を変えられます。

30分の聞き取りを設計する

一回の流れを固定すると、相手ごとの違いを比較できます。

30分の利用者インタビューを、説明、状況、具体的な一場面、困りごとと代替手段、要約確認に分けた時間配分図
権利情報: Designed as a deterministic structured editorial diagram for this project on 2026-09-08; external source none

| 時間 | 内容 | | --- | --- | | 0〜3分 | 目的、記録方法、途中で止められることを説明する | | 3〜8分 | 相手の役割と普段の状況を聞く | | 8〜22分 | 最近の具体的な一場面を最初から最後まで聞く | | 22〜27分 | 困った程度、代替手段、結果を確認する | | 27〜30分 | 要約を読み返し、誤解がないか確かめる |

質問は「便利だと思いますか」ではなく、「最後に行ったのはいつですか」「そのとき最初に何を開きましたか」とします。相手が考え込んだ沈黙をすぐ埋めず、答えを誘導しません。

記録を判断材料へ変える

面談後すぐ、個人を特定する情報を必要な範囲に減らし、次の形で一件ずつ残します。

起きた場面:
達成したかったこと:
現在の手順:
止まった場所:
時間・費用・心理的な負担:
現在の回避策:
事実と解釈を分けたメモ:
次に確かめること:

複数人の記録を見比べるときは、発言の数だけでなく、同じ場面が繰り返すか、問題が起きたときの影響が大きいか、現状の代替へすでに時間や費用を使っているかを見ます。

参考資料