個人開発サービスの終わらせ方を決めておく

個人開発のサービスは、いつか終わる日が来ることがあります。時間が取れなくなった、維持費が見合わなくなった、次に作りたいものができた。どれも自然な理由です。問題は終えること自体ではなく、突然消えることです。

きちんと終わらせたサービスは、利用者との信頼を次の作品に引き継ぎます。この記事では、サービスを閉じるときの段取りを、告知、データ、契約、ドメインの順に整理します。

終了の基準を先に持っておく

終わらせ方の設計は、実は運用の設計の一部です。元気なうちに、次の2つを決めておきます。

  • 続けるかを見直す時期:半年ごとなど、維持費と手間に見合っているかを確認する日を決めます

  • 終了を選ぶ基準:たとえば「利用者がいない状態が3か月続いたら」「維持費が月の上限を超えたら」のように、自分の言葉で書いておきます

基準があると、ずるずると放置してセキュリティ更新だけが止まる、最も危険な状態を避けられます。放置は終了ではありません。

告知は早く、複数回、理由とともに

利用者がいるサービスを閉じるときの中心は告知です。英国政府のサービス運営ガイドでも、サービスの廃止では利用者のニーズを作るときと同じように考え、移行先や代替手段を案内することが求められています。

  1. 終了日を決めて、できるだけ早く告知します。データの持ち出しが必要なサービスなら、最低でも数週間から数か月の猶予を取ります

  2. 複数の場所で告知します。サイト内のお知らせ、ログイン後の画面、登録メールアドレスへの連絡など、普段の利用で必ず目に入る場所に置きます

  3. 理由と感謝を短く添えます。運営が続けられなくなったという事実を正直に書くだけで、受け止められ方は大きく変わります

告知の経路は更新を伝え続ける仕組みをつくるで整えた仕組みがそのまま使えます。

データの持ち出しと削除を用意する

利用者のデータを預かっているサービスでは、終了時のデータの扱いが最も重要です。

  • 持ち出し(エクスポート)の手段を用意します。CSVやJSONでのダウンロードなど、利用者が自分のデータを持って移れる形にします

  • 終了後のデータの扱いを告知に明記します。いつ削除するのか、それまで問い合わせで対応するのかを書きます

  • 約束どおり削除します。プライバシーポリシーに保存期間や削除について書いている場合は、その記載と一致させます。個人開発のプライバシーポリシーを準備するで定めた内容を終了時に読み返してください

削除の前に、事故に備えた最終バックアップを取ってから作業する手順は、バックアップと復元を小さく仕組み化するの復元手順と同じ考え方です。

有料プランは返金と解約を先に止める

有料サービスの終了では、お金の処理を告知より先に設計します。

  • 新規の申込みと課金の更新を先に止めます。終了を決めた後に新しい課金が発生する状態を作りません

  • サブスクリプションは全員分を確実に解約します。決済サービスの管理画面で、有効な定期課金が残っていないかを確認します

  • 未消化分の扱いを決めます。年払い直後の利用者への日割り返金など、個人開発の返金ポリシーを決めるで決めた基準に沿って対応します

解約導線を作ったときの逆の手順だと考えると、サブスクの解約導線を設計するで整理した内容が確認リストとして使えます。

ドメインとアカウントを整理する

最後に、サービスを支えていたものを片付けます。

  • 終了告知ページをしばらく残します。検索やブックマークから来る人のために、終了の事実と連絡先だけの静的なページを一定期間置きます

  • ドメインの扱いを決めます。手放したドメインは第三者が取得でき、過去のサービスと誤認されるページに使われる可能性があります。利用者との接点が多かったドメインは、すぐに手放さず保有し続けることも選択肢です

  • 外部サービスを解約し、秘密情報を失効します。使っていたAPIキーや連携は、個人開発の秘密情報を安全に管理するの棚卸しの要領で失効させます

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終了ではなく縮小して続ける道を探る場合は、公開後30日を無理なく運用するの定期確認を軽くして続ける形が使えます。次の作品を始めるときは個人開発を始める前に決める3つのことへ戻ってください。

参考資料