個人開発の確定申告を整理する

アプリの売上や広告収入が初めて入ると、うれしさと同時に「これは申告しないといけないのか」という不安が出てきます。金額は小さいのに手続きは大きく見えて、調べるほど情報が難しく感じられるところです。

この記事では、会社員の副業として、または専業で個人開発をしている人向けに、確定申告が必要になる条件、所得の計算のしかた、見落としやすい住民税の扱いを、国税庁の一次情報にもとづいて整理します。

この記事は一般的な情報の整理であり、個別の状況に対する税務助言ではありません。控除額などの金額基準は税制改正で変わるため、実際の申告では国税庁の最新情報を確認し、迷う場合は税務署や税理士に相談してください。

税金は「収入」ではなく「所得」で考える

最初に押さえたいのは、税金の判定が売上そのものではなく「所得」で行われることです。

所得 = 収入(売上・広告収入など) − 必要経費

個人開発でかかった費用は、収益を得るために必要だったものであれば必要経費にできます。例を挙げます。

  • サーバー代、ドメイン代、外部APIの利用料

  • 開発や運営のために購入した書籍、有料ツールの利用料

  • 決済手数料、ストアの手数料

  • 開発に使う機材の費用(私用と兼ねる場合は、事業で使う割合に応じた按分を検討します)

領収書や明細を残し、何のための支出かを記録しておくことが、あとの申告を軽くします。

会社員の副業:20万円の目安

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要とされています。

個人開発に当てはめると、次のようになります。

  • 売上から経費を引いた所得が年間20万円以下なら、この基準では所得税の確定申告は不要です

  • 20万円を超えたら、翌年の申告期間に確定申告をします

  • 医療費控除や住宅ローン控除の1年目など、別の理由で確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めて申告します

「収入20万円」ではなく「所得20万円」である点と、これはあくまで給与所得者向けの基準である点に注意してください。専業の場合は給与がないため、この基準ではなく、所得控除を差し引いて税額が残るかどうかで申告の要否が決まります。要件の全体は国税庁のタックスアンサーNo.2020で確認できます。

住民税は別の手続き

見落としやすいのが住民税です。20万円の基準は所得税の確定申告についてのものであり、住民税には同じ仕組みがありません。

  • 所得税の確定申告をすれば、その内容が市区町村に共有されるため、住民税の手続きは別途不要です

  • 所得税の確定申告をしない場合(所得20万円以下など)でも、住民税の申告は市区町村へ行う必要があります

小さな収益でも「所得税は申告不要、住民税は申告する」という組み合わせがありうる、と覚えておいてください。手続きの詳細はお住まいの市区町村の案内で確認できます。

所得の区分:雑所得か事業所得か

個人開発の所得は、多くの場合「雑所得」または「事業所得」のどちらかで申告します。

  • 雑所得:副収入としての規模で、他の所得区分に当てはまらないもの。タックスアンサーNo.1500では、副収入による所得が雑所得の例として挙げられています

  • 事業所得:営利性と継続性をもって事業として営み、記帳と帳簿書類の保存がある場合に現実的になる区分。青色申告を使えるのはこちらです

始めたばかりの副業なら雑所得からで問題ありません。収益が継続し、事業として取り組む段階になったら、個人開発の開業届を判断するで開業届と青色申告を検討してください。

申告の時期と方法

所得税の確定申告は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。現在はe-Taxを使えば、自宅からオンラインで完結できます。

準備から提出までの流れです。

  1. 1年分の売上と経費の記録、ストアや決済サービスの明細をそろえる

  2. 国税庁の確定申告書等作成コーナーまたはe-Taxで申告書を作成する

  3. 給与がある場合は源泉徴収票の内容を入力する

  4. 提出し、納税または還付の手続きをする

  5. 申告データと帳簿・領収書を保存する

日頃の記録が申告を軽くする

確定申告の大変さは、ほとんどが「1年分の記録をあとからまとめて掘り起こすこと」から来ます。

  • 売上と経費を月に一度記録する日を決める

  • 個人開発用の口座やカードを分けて、明細をそのまま記録に使えるようにする

  • 何のための支出だったかを一言メモしておく

運用の習慣づくりは公開後30日を無理なく運用するの考え方と同じです。小さく定期的に記録するほうが、年末にまとめてやるより確実です。

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参考資料